現代詩10月
左屋百色

現代詩雲の下
無風にゆられて見ていたのは
つぼみのまま終わった
赤でした
無音ひびく団地の前
灰色の壁にかきなぐった鳥が
空へ
とんでゆく夢を見た
その後で、
現代詩雲の下
ざーざーと降る言葉を待っている
せっかく傘をすてたのに
僕はずっと
かわいて
いる
秋の色が強すぎて勝てなくて
僕の詩は簡単にくだけちった
その後で、
現代詩雲の下
誰かがもう冬の花火をはじめて
いる
月までとんだ鳥が
焼けおちて
僕は夢から覚めたのに
その音に耳をやられ
君の言葉がきこえない
すてた傘をひろって
つぼみの上でひろげても
潰れてしまった赤は
秋より深く
血まみれです
その後で、
現代詩雲の下
確かな夜がやってきて
詩人たちを次々と吹きとばしてゆく
僕だけとり残したという事は
認めないという事か
そうか
詩人にはなれないのか
そういう事か
その後で、
現代詩雲の下
無風の中ひとり
くだけちった
自分の言葉をひろい集める
その後で、
現代詩雲の下
今さら
ざーざーと降ってくる言葉



自由詩 現代詩10月 Copyright 左屋百色 2013-10-17 21:00:04
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