芸術家と結婚する
朝焼彩茜色

貴方の祖父は画家
貴方の父も母も阿蘇山を駆け上がる 馬の姿を描いていた
貴方の弟も絵をふすまに残していた

 でも貴方は描かない

 すぐに脱いでさしあげるのに

 私のささやかな夢の一つなの 裸体の曲線が生きている間に

貴方は芸術のエッセンスにきっと 打ちのめされて生まれて来たのかもしれない
芸術の素晴らしさに結界を無意識に色彩を乗せ
素朴を噛みしめて現実を正面から受け止める リズムの崩れない強い人

 心の余分の隙間に その憧れは確かに存在する

 芸術家は憑かれ 守り風を戦ぎながら 喰いしばって戦い 祓いながら

 自分を愛さなければ 明日は生きていない 予告もない かもしれない 

 私は同じ屋根の芸術家
 
 時に貴方に分かって貰えないと 寂しくなる

 すぐに脱いでさしあげるのに


私は芸術家と結婚する それは危険な爆発 
芸術家の伴侶は素敵凡人の単細胞が相性がいい 精神の乱れのない強い人

けれど貴方云ったわ 粘土ならやってみたいと
いつか遠い未来 世界遺産の巡りも終えたら

貴方は轆轤を回している 頭にタオルを巻いて
私は側で悉曇章をなぞりながら 貴方を見ている


自由詩 芸術家と結婚する Copyright 朝焼彩茜色 2013-10-09 17:13:03
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