飛行船
宮岡絵美

紺色に遠い夜空
白い月が明るく浮かんで来る
私の頭のなかには
とりとめのない考えが
浮かんでは消える

いま 空を歩いているところ
降りしきる雨のなかに
いつかの
或いは未来の
遠い記憶を辿っている
ああ本当に
ひしめき輝く星たちの間に
我々は我々として生きているのだった

何度も、何度も泣く
嘘ではなく
この現実がほんとうに私のものである為に
この胸に去来するのは
遥かなる飛行船と君のくれた言葉
地球上の人々の心に
虹が架かる一瞬を待っている

小さな思想を紡ぐ言葉など出てこない時は
空の写真を撮ったり
長い長い散歩をしたり
いつものこの風景に
突如として涙の気配がするのは何故だろう
私の抱えている抑圧
多分何かを必要としているのに
本当は何が自分に必要であるのか
わからないでいるのだ
思い出したり
思い出さなかったり

この脈打つ心臓を取り出してみせようか
語り合う世界について何か
わかるかもしれないから


http://www.eonet.ne.jp/~tobeistodo/poemhikousen.html



自由詩 飛行船 Copyright 宮岡絵美 2013-10-09 13:50:16
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