ひとつ 足音
木立 悟





ギャロップ ギャロップ
地表は斜めのフォックストロット
朝陽にふくらむ窓や壁
影の行方を振り向きもせず


半分の虹
速い夜
河岸はふたつ
遠い橋


冬のさなか
崩れ朽ちた城に集い
星が落ちるのを願っている
息もせずに見つめている


緑の偏移 緑の偏移
階段を生む階段の先
高い高い高い波
鉛の針の先の先


虹の嘘を歩み
雨に濡れ
蜘蛛の群れの上に
隙間の多い手のひらをかざし


泥の熱に向かう草
いつの時間も蒼い空
足跡 足跡
それ以上 増すことのない音


僧侶の星がかがやきを捨て
絵本を忘れるようになり
白と黒は豊かにまわり
夜を夜と認めてまわり


街のなかに沈み棲む街
まだらな光の角のばす街
どこもかしこも明るく無人の
昼の声さえ聴こえない昼


ギャロップ ギャロップ
回転倒立
ふさぎたくてもふさげない音
静かに暴れ 立ちどまる
静かに破れ 生まれくる























自由詩 ひとつ 足音 Copyright 木立 悟 2013-10-08 14:02:51
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