ホーム
Lucy

平然と響く
アナウンス

「一番線を 列車が 通過します
 ご注意ください」

急流の中に
取り残されてある中洲のように
ホームは心細い

トンネルの出口のように
はずれに開ける
明るい夕暮れの空の下
線路はカーブして遠のいていく

そのかなたから
殺気立つ
両眼をぎらぎら光らせて
轟音を上げ
猛進してくる快速電車

無防備な中州は
危険にさらされる

死にたくなければじっとしていな
「ご注意ください」の一言で
命の保証は自己責任
ほら子どもの手は離すなよ

この駅には停車しない
快速便だから

いやどんな便も
停車しない
ホームの私を
ただ危険にさらすだけ

いつか乗せてくれると思って
待っていても
私のために停車して
扉をあけることはない

今度は反対側を来る
「二番線を 列車が 通過します
 ご注意ください」


自由詩 ホーム Copyright Lucy 2013-09-30 14:32:22
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