きれい、
左屋百色

にわか雨の後に風を読み
電線に止まった鳥がきれい、
だというならば
ガードレールの影がのびてゆき
おどろいた猫の目がきれい、
だというならば
たくさんの小さな色が花びらに
とけ込んでゆくのがきれい、
だというならば
きっとわたしの詩は
誰がよんでもきれい、
ではない
(それでもね、
冷たい風にせかされ
一枚の落ち葉に詩をかきました
夕暮れ前には粉々になるでしょう
夜に埋もれ
次々と終わってゆくでしょう
みんな音をたて
その上を歩いてゆくでしょう
(ちがうね、
現代詩に終わりなどない
次々と生まれてゆく
(葉をちぎれ、

言葉の列が乱れてゆき
もう誰もよめなくなっているけれど
きれい、
君の詩は君に似ている
何よりも君に似ている

鳥や猫や花になれない
そんな言葉たちが
きれい、
わたしそれを集めているから
ほら、
君に似ているから




自由詩 きれい、 Copyright 左屋百色 2013-09-28 14:12:28
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