カレーまん
花形新次

こんなに苦しい思いはしたくなかった
軽快に、爽快に生きていたかった

すべてはきみと出会ってから変わった
僕の心は押しつぶされて
呼吸も出来ないほど

きみが他の誰かのものになるのを
指を咥えて見ているなんてできなかった
きみを独占したくって
僕は毎日通い詰めた
それでもきみは変わらずそこにいて
僕以外の誰かを待っていた

こんなに苦しい思いはしたくなかった
太陽のように朗らかに生きていたかった

きみと出会った衝撃は
僕の何かを変えてしまった
自分では分らないけど
変えてしまったんだ

冬になると
僕の目の前に現れたきみ
最近じゃ季節問わずになったよね
だけど
それが嬉しいことなのか
辛いことなのか
今の僕には分らなくなっている

今日もきみはそこにいる
ホッカホカの温もりのまま
そこにいる

僕はあるだけ下さいと言うことも
恥ずかしくなくなって
店員の嘲笑を背に
自動ドアを開けた瞬間
きみの皮をむき始めている


自由詩 カレーまん Copyright 花形新次 2013-09-24 12:20:49
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