孤独の窓辺
石瀬琳々
海風にめくれる詩集さらさらと夕陽が射せば金が散る窓
夕立が過ぎて誰かを恋しがる覗く青空痛みにも似て
潮騒が胸裡に満ちてはなれない朝に夕べに打ち寄せる君
かなしみは魚のようにひるがえる水没する街雨だけを聴く
やわらかな慕情を人にゆるしては淋しくていつか口寄せる桃
唇は君のなまえを忘れ得ず散る花びらよ指に髪に目に
夏星へ永遠の君へ旅をする銀河鉄道ひかる野に立ち
蝶の羽、風にふるえるその心光に飛べと夢のささやく
夢にまで潮騒遠く忍び込む孤独の窓辺透き通る秋
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薊道