きみの空へ
yo-yo

ひとり校庭で
逆立ちの練習をしていた子
あれが、
きみだろうか

5段組みのてっぺんで
バンザイをする子
きみでないことはたしかだ
きみは高所恐怖症で運動オンチ
逆立ちもできないし側転もできない
ピラミッドのずっと裾で
地べたに伏せている子らのひとり
土だらけになって耐えている
そんな子らのひとり

きみはどこにいるんだ
四季が駆けめぐる
運動会の一日
きみの大地は砂ぼこり
きみの空は呆として広すぎる
もくもくと入道雲の
きみはもくもくのひとつ
ゆうだちの雨つぶのひとつ
そよぐ稲穂の籾のひとつ
はらはらと落ちる枯葉のひとつ
こんこんと降る雪片のひとつ
そして春は
桜の花びらのひとつ

きみを見つけられないままで
運動会が終わってしまう
きみはわたしを避ける
目をそらし足早になるきみが好きだ
きみの名前がいっぱいの
ノートにわたしはキスをする

せんせい、
知ってますか
キスって鉛筆の味がするんですよ
わたしは
逆立ちもできます
バク転もできます

逆さの空をつかんだら
きみが見つかるだろうか
地面に両手をついて
万国旗の空へジャンプする
青い波紋がひろがって
わたしぼっちの
いつかの空
どこに隠れているんだ
きみは







自由詩 きみの空へ Copyright yo-yo 2013-09-18 06:19:49
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