終幕の薔薇
アラガイs


たったひとつの科白で終えるとき
誰もいない薄暗い部屋を飾ろう
もし手向けられるならば
二度と咲かない蒼い薔薇がよく似合う
使われない硝子が棚の底に
染み付いた煙は放置され
黒い黴が支配した四隅
汚れに耐えてきた壁紙の
、陽と滲む汗腺は消えた
薔薇ならば美しく死ななければならない
密かな香りに興じて
わき道に逸れた人々
客席から称賛の声が聞こえる
鏡のない鏡の
、あれは予感された運命の、独白 。











自由詩 終幕の薔薇 Copyright アラガイs 2013-09-17 05:07:09
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