もし、そんなことをしたら…
ホロウ・シカエルボク

何かを綴ろうとして感情が一目散
転がり落ちる一日の終わりが
階段のいちばん下で悪い頭の打ち方をして昇天
きちがいじみた断末魔だった
どうしてやることも出来やしない


通信を何度も試みてみたのは
無線だってまだそんなに捨てたもんじゃないって思いたかったからだろ
だけど呼ぶ声は無様に
とっても無様にこむらがえるノイズの中で迷子になっただけ
ウンザリしてスイッチをオフにしたりしたらきっとそこから一生
出てくることなんか出来ないぜ


突っ張った左足のふくらはぎが忌々しい
だけどそいつをどうする時間も無くて
目覚ましに急かされる前に少しでも満足な眠りを
だけどどんなに眠ってもスッキリと目覚めることなんか出来ない
妙に鈍重な夢に疲れて
首に縄を掛けて吊るされるみたいに起きるのさ


夢にあれこれする時間に辟易するのに飽きました
なんてお前
辟易もしなくなったら本当に本当の終着駅だぜ
到着する車両の中は干乾びた死体ばかりだ
臭いすらしない死の中で
つんとした生身を忘れてしまったのかい
行ってしまうよとベルが鳴る前に
行ってしまうよとベルが鳴る前にもう一度よく考えるんだな
一度スイッチをオフにしたら
きっと一生出てくることなんか出来ないぜ


公園の隅っこに置かれた四つのバスケットコートのひとつにある朝
中学生の男子がリングに首をひっかけて死んでいるのが発見された
何をどうしていてそんなことになっちまったのか
誰もはっきりとした結論は出せなかった
ふざけて上って遊んでいるうちに云々
彼の人生のゴールは推論で片付けられた
やむなし


河をまたぐ大橋の周辺じゃ妙な音を立てて走る車が多いよ
腹具合が悪い奴が駆けこんだ個室から聞こえる音みたいさ
凝った挙句の果てがあれじゃまったく目も当てられないね
誰かを刎ねるかどこかにぶつかるかでもしなくちゃ
あんな車がお行儀よくなることはないだろうさ
隣のビルの屋上に隠れて
エア・ガンで狙い撃ちしてやろうかと思う
信号待ちでアクセルをブハブハ言わしている間にさ


ジャンピン・ジャック・フラッシュがもっとも醜悪なタイミングで流れてくるテレビドラマ
鼻もちならないって気分があの時リアルによく判ったよ
ワンツー
ジャッジャー ジャジャジャー ジャジャジャジャ
ギターの音はジャジャジャじゃなくちゃならないぜ
あまちゃんの話はすんなよ
だからお前はあまちゃんだってんだ


眠くなる直前の時間は
遺書を書く時の気持ちみたいだ
誰宛から書き始めようかとか
簡潔に済ませようかとか書けるだけ書いておこうかとか
綺麗なことだけ書いておこうかとかそれとも
洗いざらいぶちまけてスッキリしておこうかとか考えるに考えて
考えあぐねて結局何一つ実現しないままなのだ
面倒になって結局投げ出す
デッドの辺りまで早送りするということはどんな御託並べたって
とどのつまりは面倒になって投げ出すっていうことに他ならないのさ
とどのつまりって漫画あったなぁ


夜間飛行の飛行機の点滅が星座に紛れてる
十六夜の月が白く光り過ぎてる台風のあとの夜
びっくりするくらい帰り道が冷たくてさ
ああ秋が来たんだと思った
びっくりするくらいの秋が来たんだって
もう少しの間窓辺に腰を下ろしているから
もしも誘ってくれるつもりなら窓の下まで来てからアクションをしてくれよ
そいつが面白いかどうかで乗っかるかどうか決めるさ
だけど一度始めたら


中途半端にスイッチをオフにしたりするような真似は
絶対にしちゃあいけないよ



自由詩 もし、そんなことをしたら… Copyright ホロウ・シカエルボク 2013-09-17 00:40:05
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