巣編み
砂木

玄関の隅に蜘蛛の巣がある
大きな蚊の死骸が かかっている

ほうきではらい 外に掃く
小さな蜘蛛が逃げる

朝の外気が 玄関から流れ込む
蚊の死骸は やがて蟻に運ばれるだろうか

巣にかかったのは 不覚
掃われて 体 
待ち受ける 蟻の列

でももしかしたら 雨で
蟻も運べないのかもしれない

着替えて 通勤の列に並ぶ
ガラスに写る 開く家々の扉 

腕時計の矢印に歩みを重ねる
針音に 乗る 巣ごと






自由詩 巣編み Copyright 砂木 2013-09-09 00:39:10
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