ぬけがら
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ふるさとが肺を患い
転移する酩酊は
葉桜の色をねぶり
胃壁を食む、蛇が
赤い絵の具を射精する
その、ぬけがら、父の唾液
残滓に海の香り
帆を張る空に
幼い、空腹を晒す

鉄橋、どこまでも
灰と星くずを敷きつめて
寝返る背中に、光を配管する
中庭の芝生は水を舐め
半熟の色彩を投棄する
ビニール袋が風に殴られ
吐き出すものは何もない
すべて消費されてしまった
下書きのような午前

寒色を重ねる廊下に
人の足音が滴ってゆく濃淡
うわずみを掬う手
繁茂する祈りとさざなみ
堅牢な窓に
街並みは歯をたてて
白く、晴れわたる空の下
裸足で日没を待つ

沈黙を均等に切り分け
精緻に並べては光をあてる
沈黙の未熟児が
明日に運ばれる
渇いた草の上で口を開け
水が、汲みあげられるのを
待っている、午後
帰る場所を忘れて


自由詩 ぬけがら Copyright sample 2013-09-07 01:08:31
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