視線
アラガイs


雛は眼に追われ
眼は口ほどにものをいう
鷹には爪があり
わたしには傷がある
だからあなたを見ない
あなたはわたしの近くをみつめるが、わたしはあなたの遠くをみつめる
これで苦しむこともないだろう
ただ 凹凸に口元が歪む
背中に痛みを感じる
痛みは手足の痺れを付加しわたしを悩ませる
それを苦しみだというのなら
わたしは何をみつめればよいのか
みつめればみつめるほど視界は薄い
鬱蒼と生い茂る円(まどか)に揺れ
狭められた随道の白い片栗の花
行き止まりのない遍路
今日はいつの頃からか
曇り空が近すぎる
わたしにはみえない霞む山の頂きが
まっすぐに跳ねた世界
あなたにはみえるのだろう
予知もされない
拡げた地図のように 。











自由詩 視線 Copyright アラガイs 2013-09-03 16:42:27
notebook Home 戻る