花のかげ
草野春心



  夏の花びらはたやすく落ちて
  コンクリートで分厚い影と
  ひとつにかさなった



  きみは塀にからだをもたせた
  なんだかひどく疲れたみたい
  ぼくは膝から胸にかけて
  こころの位置を手探りするけど
  何かとかさなっていてみつからない



  まもなく雨雲がやってきて
  その影はだれにもみえなくなるから
  ぬれてはがれた花のすべて
  ぼくがきみにあげるよ





自由詩 花のかげ Copyright 草野春心 2013-08-31 08:57:45
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