8月の青い空 
Lucy

空の遥かに
光る雲あり

積乱雲の崩れたあたり

擦れて浮かぶ記憶を尻目に

遠くから呼ぶ
声があり

夕立ちの切れ間に
キノコ雲の翳が崩れて

大上段に正しいことだけを言おうと
声を張る人が
掠れた雲を背景に
人々を見下ろしている

わき起こってくる反感
私は
あなたの「私たち」には属さない
声高に正しいことをいう人が
正しい人だとは限らない

蒼い時空を遥かに押し上げ
遠く流し去るものの背後に
既に迫りくる
黒々と空を塞ぐ塊

「私たち」ということばの不遜
みんなが同罪でなんかない
あなたが愚かだからといって
なぜ他の人達まで愚かだと思えるのか
あなたが忘れたから、
みんなが忘れたとなぜ断定できるのか
「私たち」と言って大声で反省してみせたとき
あなただけが手にする免罪符でもあるのか

私は…と言って絶句する
少なくとも
正しいことを言う権利が
糾弾する資格が
啓蒙する権限が
その手中にあると信じてやまない
あなたよりは
いくらか謙虚だ

お互いに
せいぜい詩を書いているだけではないですか・・

責任のなすりあいをしたり、
それが見苦しいと言って
私たちみんなが悪いのだなどと
うそぶいている人の頭上で

正体を見破らなければならない本当の相手が
黒くあざ笑うものが
もう すぐそこまで近付いている・・。




自由詩 8月の青い空  Copyright Lucy 2013-08-27 15:59:15
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