ぼくと、君と、ぼくらのクラスは最強だから。 #3
創輝

   ……ねぇ、どこまで行こっか
 僕達は裸足のままで学校という世界から逃げ出したんだ。
 君は唖然としていたけど、いきなり微笑んでくれて

じゃあ あの山に登ってみない?

 いつも君がぼんやり眺めていた山を指差した。
 無論、行く当ての無い僕らは頷く。
 だけど、追いかけていた大人は血相を変えて怒鳴ってくる。
「馬鹿者!!あそこに入ったら生きては戻れん!」

 え?
 生きててほしいの?馬鹿な僕らに。
 そんなのごめんだよ。 存在を否定されるだけの世界にいるくらいならあのヤマで朽ち果てた方がまだマシなのに。
 皆おんなじこと考えてた
 生きて帰りたい なんて、大げさだよね
 ただ 「今」を、裸足のまんまで感じてみたかった

 

 山は静かだった
 一足踏み出すたびに、僕らを縛るしがらみが消え去った
 何がしたいのかなんて分からなかったけど
 ぼくらはずぅっと歩き続けた

「頂上にたどり着けないね」
 女子の一言で、僕らは気づいたんだ。
 もう、何十分って歩いてる。
 そんなに大きくない山なのに どうしてまだ…

「私達が目指してないからよ」
 思いのほか、大きい声で君は答えた
 頂上を目指してなどいないなら
 僕らはどこに歩いているんだろう

「ねぇ、あれって学校?」
 木造の、古そうな建築物
 学校、らしいね
 無機質なコンクリートの学校は絶対いやだけど

ぼくらはいつの間にか、その学校に魅かれていた

僕らが目指していたのは 頂上ではなく
この学校だったのだろうか

学校から抜け出して
裸足で何十分って駆けずり回って
たどり着いたのも 学校なのだろうか
そう思ったら 僕は笑いがこみ上げてきて堪らなかった

「僕らって」

 何かで縛っておかなきゃ生きていけないのかな?


 僕らが結束できる象徴は、やはり学校らしいね
 でもね
 この学校、ほんとの意味で、僕らの居場所みたいだよ

「ねぇ知ってる?この町の伝説……」


自由詩 ぼくと、君と、ぼくらのクラスは最強だから。 #3 Copyright 創輝 2013-08-21 18:26:20
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