詩人
ヒヤシンス
深夜、ある着想をその手に掴んだ者はそっと詩を描くだろう。
詩神にその身を委ねる者がきっと在るだろう。
何の為に、などと野暮な事は聞かないでほしい。
心に溢れて仕方のないものを書き留める者こそ詩人なのだ。
詩人は大洋を眺めるもの。
詩人は道端の草花に目を向けるもの。
詩人は読む者の心に何らかの作用を促し、その者の感情、感覚に訴えるもの。
詩人はある対象を独自の感性と霊感とをもって表現するもの。
詩は孤独な魂の所有者に浸透し、静かにそれぞれの心を結び付ける。
その時私たちはもはや独りではない。
ある衝動は私たちの心を動かし、魂の共同体となる。
それは魂の解放。
深夜、その魂を解放された者は果てしのない自由を手に入れる。
そして描くのだ。自分の感性の赴くままに。
それこそは詩、詩人。自分だけの世界を形創れよ。