スカートめくり
小川 葉



とても懐かしいものを見た

男の子が女の子の
スカートめくりをしている

スカートのむこうに
何かがあるのだ

あれは
永遠の命を求める
行為なのではないだろうか

人間という
乗りものに乗りながら生きている
私たち

やがて乗りものは
経年とともにガタがきて
滅びてしまう

けど人の死は
悲しいことじゃない

私という
小さな乗りものの中にいる
たったひとりの乗組員が
私という乗りものを
操縦し

おお、その存在こそが
私にスカートを
めくらせていたのではないか

私たちの正体は
宇宙を旅する
孤独な宇宙飛行士

この惑星の
朝日を見ているのは誰か

私という
小さな乗りものに乗りながら
私の中にいた
たったひとりの乗組員ではなかったのか

自我のむこう
今夜も夜空に花火が光り
消えていく

すべては
スカートのむこうで
起きたこと

とても懐かしいものを見た

男の子が
女の子の
スカートめくりをしている

明日のために



自由詩 スカートめくり Copyright 小川 葉 2013-08-10 23:08:34
notebook Home 戻る