【ベランダに吹く風】詩人サークル「群青」七月のお題「風」から
そらの珊瑚

腕がある
脚がある
カラダがあって
心臓はこの辺だろうか
洗濯物を干しながら
幸福感に包まれる

よれてしまった襟だとか
落ちきれてない染みだとか
ゴムの伸びたパンツだとか
新品ではない愛しきものたちが
昨日の汗を落として
洗い上がって
無言で固まっているのを
伸ばして
たたいて
乾かして
清潔を身に着けさせて
八月の青空を見上げれば

あの空に
かつてグラマン機が飛んできて
爆弾を落としていったという
あの空に続く遠い空では
かつて零戦が
九九式二〇ミリ機銃をばりばり撃ったという

ベランダに吹く風は
今日は私の味方
明日は敵になろうとも

風立ちぬ、いざ生きめやも。

生きて
明日も洗濯をしよう



自由詩 【ベランダに吹く風】詩人サークル「群青」七月のお題「風」から Copyright そらの珊瑚 2013-08-04 14:05:31
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「詩人サークル 群青」課題作品