人魚になりそこなった君へ
未有花

人魚になりそこなった君へ

あれから3度目の夏がやって来たけど
僕らは未だ海に還ることができずにいる

君のお気に入りの水着も
タンスの奥に仕舞い込まれたまま
一度も日の目を見ることもなく

3年前より伸びた君の手足が
淋しげに立ち尽くしているだけ

これから幾度夏を迎えれば
僕らは海に還ることができるのだろう

海は何も答えてはくれない
ただあの日の傷跡を残したまま
静かに波を繰り返すだけ

忘れられない想いだけ残して
季節は足早に過ぎ去って行く

いつか人魚になれる日を夢見て
僕らは今日も沈黙の海と向かい合う


自由詩 人魚になりそこなった君へ Copyright 未有花 2013-08-02 09:11:05
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