回転木馬
nonya


喉元を過ぎた熱さは
記憶の端に刻まれることもなく
ボトル半分の濁り水とともに
朝焼けの彼方に消えていく

問題と解答を丸暗記するだけの
退屈な学習にも飽きて
何度も同じ過ちを繰り返しては
薄笑いの裏側に忘れていく

回る
回る
回転木馬
風景も痛みも煌きも
予定通りに
巡り
巡る

惰性ではないと言いながら
推進力を持たなくなった心は
パルスの海で溺れかけては
感動の人工浜に打ち上げられる

子供の心を持った大人なんて
いったい何処にいるのだろう
気紛れで薄っぺらな好奇心は
なけなしの紙幣と交換される

回る
回る
回転木馬
緩やかに浮き沈みしながら
予定通りに
巡り
巡る

いまさら飛び降りようとは思わない
白い柵の向こうに広がる荒野に
「自分らしさ」が落ちていたことなんて
一度もなかったのだから

疾走する姿のまま凍りついた
馬のたてがみに大人しく大人らしく
しっかりしがみついていれば
痛みもなく朽ちていけるはずだから

笑え
笑え
回転木馬
笑いたい奴には笑わせておけばいい
予定通りに
笑い合って
嗤い合って

それでも僕の目は
決して笑っていないんだけどね




自由詩 回転木馬 Copyright nonya 2013-07-27 12:39:13
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