アンハッピードナーマン
愛心

飛び降り自殺に失敗した
病室の僕 白い四肢
君は何も言わず 手のひらで
僕の頬を 打ちました

僕が生きている事実に
罪を感じたのは いつからだっけ
価値のない命 繋ぐために
他の命を 喰らうのです

大切にする方法も分からず
生きる意味も 皆無で
金と愛と命 欲しがるこの身に
反吐が出そうになりました

運転免許証の裏
小さく綴られた 言葉は
一筋差した 光に見えて
迷わず1に丸を付けました

ひりつく頬押さえる
僕を見つめて
君は綺麗な瞳を濡らすのです
傷だらけの僕を抱き締めて
ああ ごめんね
また 彼女を泣かせました

「大切なものは何?」
即答しましょう 僕の身体です
「それならば何故?」
だって 使えるうちに
使って貰いたいから

僕がもし いなくなっても
この世界は 変わらないから
空いた場所に 新しく存在する
誰かの方が きっと素晴らしい

確実に消える方法を
知っているのは僕自身
それでも醜い欲望が
生きたい ともがくのです

眼球も小腸も肺も腎臓も胃も大腸も肝臓も心臓も
余すことなく 価値があるなら
どうか必要としてください
僕の命の意味は 僕自身だ

君の機械の組まれた心臓は
脆く儚く壊れやすいから
その美しさが終わらないように
僕の鼓動は 君に捧げたい
僕の心も 君の左胸にいれば
少しは 命を感じられるだろう

君に 世界と色を教えてあげたい
この世界はどれくらい
醜く 美しいのか見せてあげたい
悲しくいとおしい この世界で
君が幸せなら それだけで良い

きっと僕はこれからも
早く消えたいと願うでしょう
偽善的なエゴイズム
どうか 僕を愛さないで
僕は幸せ アイムハッピー
君のために 僕のために


自由詩 アンハッピードナーマン Copyright 愛心 2013-07-27 08:16:34
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