首のないM
atsuchan69
首のないMを幾度も抱いた
いろんな場所で、いろんな服を着せて
街のホテルよりも野外での変態プレイが多かった
いつもボクがしたくなったときだけ利用した
首のないMの下着を勢い脱がして
柘榴のように割れた首のないMの海辺を歩きはじめる
いやらしい匂いが湿った灰色のビーチに漂って
形ばかりの愛は虚しく砂に足跡を残した
昼も夜もただ抱かれるだけのMは、
ときどき砂漠そのものになってボクを孤独にした
水のない距離と時間のなかで永遠とは苦痛に等しかった
ただ首のないMの重い沈黙が昼も夜もつづいた
別れるとき、Mは駅のホームでボクを見送った
首のないMが、さかんに手をふりつづける
やがて線路の向こうには真っ暗なトンネルが待っていたけど
首のないMは、ずっとずっと手をふりつづけている