わかれ まばたき
木立 悟





窓に付いた
紙のきれはし
水のように光り
兆のように消えてゆく


浸透圧
立ち止まる
有るか無いかの
はざまにまたたく


鱗がひとつ
水から離れ
羽根に語り
朝を傷つけ


曲がり角の雨には
過去が映る
みなもとに昇り
海に叛く背


まばたきよりまばゆい
爪の光
新月のはじまり
子の列の終わり


夜に垂直に
喉を鳴らす
手の甲の四季
四隅の羽


雨と星 雨と星
濡れた高さの底の径
すぐ隣をゆく影さえも
息のように消えてゆく径


金の錆いろ
なつかしい声
いつか たずさえた手を離す日の
いつもと変わらぬ無と光


ずっとあとのことに思える
これからも 変わることのないように思える
巨きな空ろを洗う手のひら
夜と夜を近づけてゆく



































自由詩 わかれ まばたき Copyright 木立 悟 2013-07-11 23:32:29
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