死んでも背負って、あるく (生体反応の設計)
乾 加津也
著作権は著作者の死後五十年を経過するまでの間、存続する。
(著作権法 第五十一条 第二項)
死んでも背負(しょ)って、あるくものだと思ったか
だれかが
ちょさくけーんと発砲する
(みんなが合法する)
気配もない、嘘っぽい五十年だなぁ
なんでもいいや
いまは影すら恋しいので
世はきっと
雨
どこにもあって、人知れず
紫陽花の葉裏に隠れた、実はめくらの
かたつむりさん
あなたのうるわしい水の軌跡に触れる、わたしは
よこに流れる朝
生前はおせわになりました
てつづきに、明けくれ
さまよいに、事欠かず
粛々と生きていた(んだろう?)わたしが
わたしを、ちょさくして
迫りあがった
巨大組織の
けっして姿を見せない、たぶんボスからの認証を得
紙に
磁気に
関わりのひとに、ささくれた
背中が痒い、わたしの
蝶のような骨盤(組成)が
廃墟を担保に
区画整理
+ + +
これを書いたひとが没して
五十年が過ぎれば
その日はやっと、雨で
あの日の紫陽花の葉裏、うっすらと水の軌跡に惑う
ゆらめきをおいかける
ひともいる、から