真夜中の放浪
ヒヤシンス


真夜中に石畳の狭い路地を歩く。
すべての家々の窓は閉め切られ、孤独のうちに
私は己の半身と夜を語る。
時の歩みはいまだ遅い。

真夜中に浸る欲望を持つ者の頭はたえず動いている。
昼間の雑踏をやり過ごした体は疲れ過ぎてはいるが、
己の半身がその足を暗闇へと進めてしまう。
まだ眠る時ではない、と。

疑わしい視線を立ち並ぶ街灯から感じるが、
その中から少しでも我が半身に優しげな外灯を感じ取ると、
思わずその下で煙草を吸ってしまう。ぼんやりと、・・・。

あらゆる思考が入り乱れる。そのほとんどは人との交わりの中で生まれる。
大人であり続けようとする自分と子供のように繊細な心を持つ我が半身。
話は平行線のまま、煙草の灰が音も無く地面に落ちる。


自由詩 真夜中の放浪 Copyright ヒヤシンス 2013-07-08 23:58:40
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