汽車にのって
草野春心



  汽車にのって
  なまぬるい水筒にぼくは口をつけた
  鞄からとりだしたおむすびは少し
  いびつな形にへこんでしまった
  ほおばりながら見まわしてみるけれど、
  このなかにぼくをしっているひとはいない




  汽車にのって
  夕暮れが静かに目を閉じていくのを眺めていよう
  愛するひとたちがぼくにくれた
  大切な言葉を何度でも思い出そう
  このなかにぼくをしっているひとはいない
  このなかにぼくをしっているひとはいない
  遠くで誰かが何かを話しているような
  かなしい夢をみよう





自由詩 汽車にのって Copyright 草野春心 2013-07-05 22:36:50
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