HAL

開高健の《輝ける闇》について三島はこう批評している
“ただ在ったことを見たものを書いただけじゃないか”と

もちろん言っておくが
三島文学を否定しない
開高文学を否定しない

三島も愛する作家のひとりだが
三島は間違っていると想っている

ただ在ったことを見たものを書くことは容易いはずじゃない
そこに文学として人間を描くことは困難そのものではないか
                
作家であればそれを文学にすることは
途方もなく難題であることを三島が知らぬはずはない

その一点だけが三島文学に大きな傷を残したと想い
また三島の最高傑作である“午後の曳航”を読み返す


自由詩Copyright HAL 2013-07-03 13:09:05
notebook Home 戻る  過去 未来