いなご
草野春心



  草の皿に
  いっぴきのいなごがとまっている



  ぼくはいつも色んなことを
  すぐに駄目にしてしまう
  砂団子のように丸く脆く
  君への思いを胸のなかに固めて



  ふかくしずんでゆく夕暮れの空
  この手につかめそうなほどくっきりとした風
  車道を走り過ぎるスクーターの影に
  いなごは溶けていなくなった




自由詩 いなご Copyright 草野春心 2013-06-29 10:28:35
notebook Home 戻る