街の潮目
AB(なかほど)


県庁跡の建物の中で期待もなく調べ物にとり
かかり、時間を待って香林坊に出る。そこは
ほんのひとにぎりの銀座で、渋谷で、新宿で
もあり池袋の匂いを探して片町に流れる。ス
クランブル交差点では薄汚れたバドウェアの
上に、ボアの着いたコートを羽織った天使た
ちが。また、その隙間からは彼女達のあこが
れが目配せを、する。金劇の地下のかつて茶
屋から流れてきたお母さんたちは、またどこ
かでどこかの花を咲かせているのだろうか。
犀川の手前では深呼吸もできはしないが、橋
を渡るともうここは歓楽街ではあありません
よ。と週末の静寂。身を委ねる場所は今日も
見つからない。




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自由詩 街の潮目 Copyright AB(なかほど) 2005-01-01 23:11:38
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