アンテナ
そらの珊瑚

圧縮された白い時間が
空に取り付けられた
タイマー仕掛けで吹き出した
入道雲

あなたが使うシェービングクリームみたいだ
毎日せっせと伸びるヒゲ
剃っても剃っても
誤作動せずに
めげずに伸びる
(オトコのヒトに取り付けられたタイマーで目覚めた時から)
ヒゲは
いつだって現在進行形
未来に向かって発芽する

要らないものなら
無くしたって惜しくはないだろうに
要らないけれど
無くせないって
ホントは要る! ってことなんじゃなかろうか
要るものだけ欲しいって
きっと虫のいい噺なんだろう
ヒゲを剃る男の顔は
季節はずれのサンタクロースの楽屋裏
私は時々盗み見てこっそり笑う

夕刻 ヒゲは
にょっきり生え出すことだろう
アンテナさ
さしずめ
猫のヒゲみたいに
家路をたどるため
微弱電波を発信する


自由詩 アンテナ Copyright そらの珊瑚 2013-06-27 14:00:05
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