夏の横顔
Lucy


少し横顔を見せただけで
思わせぶりに去っていく夏

雨が 家々のトタン屋根から
ライラックの葉の一枚一枚から
信号機の黒ずんだカバーから
夏を洗っていく

雨が 夜更けの水平線上で
輝き続ける夕焼けの残り火とか
青空にざわざわと騒ぐ
見知らぬ木々の梢とか
忘れられない面影だとか

走って渡った鉄橋から
夏を洗ってしまうと

心には何が残るのだろう


自由詩 夏の横顔 Copyright Lucy 2013-06-25 22:51:41
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