繋がれた犬
春日線香
スーパーの駐車場に
小さな犬が繋がれていた
妙におどおどした態度で
あたりを見回している
近寄って撫でようとしても
触れようとする手を避けて
絶対に撫でさせないのだ
きっと飼い主は
買い物に勤しんでいるのだろう
野菜、肉に魚
玉子、豆腐、菓子パン
ポテトチップス
ケーキ、ワイン
etc
犬は雨に濡れている
それから梅雨は明けて
夏の日差しが照らすだろう
ひまわりは急速に伸びて
犬は吠えるかもしれない
でももしかすると
秋までもたないかもしれない
冬になって
繋がれたままの犬は
ごみのようになっているだろう
駐車場の隅でそれは
空き缶や落ち葉と一緒だろう
そっと毛布をかけるように
雪がしずしずと降り積もっていくだろう
自由詩
繋がれた犬
Copyright
春日線香
2013-06-22 04:48:26