正面から
三月雨


君の喉を覗いて、
君がまた僕に言えないで居る言葉を引っ張り出してあげよう。

例えば寂しいであったり
例えば泣きたいであったり

あるいは連れ出してであったり
あるいは構って欲しいであったり

君がまた、
君がまだ言えないでいることを、
君のその大事な逡巡を
優しさの振りで奪ってしまおう

僕のこの捻じれた愛情に、気付いてくれる君だから
僕はいつでも正面から君を信じ、
君に上手に裏切られる日を待っている。



自由詩 正面から Copyright 三月雨 2013-06-17 21:04:56
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