詩はやがて、現実の一部になる
yamadahifumi

詩人が詩を書けば

そこには一つの表現が生まれる

余人はそれを見て

そこに何か、美しいものの根拠があるような

錯覚をするが・・・それは間違いだ

詩人が知っているのは僕達に与えられたのと全く同じ

平凡で空虚で怠惰な世界

だが、詩人は全ての天才画家と同じように

人とは違う「眼」を持っている

それで、彼の眼を透して見れば

途端に、平凡なものは美しく輝くのだ

だから、僕達は詩の奥に

本の奥に何か非凡なものを期待してはならない

詩人や哲学者というのは、きっと、この世にもっともうんざりした者達で

彼らはそこで「自殺」という選択肢を選ぶ代わりに

「創造」という一つの死の代替物を取り上げたに過ぎない

だから、絶望は創造の母であり

そして、意思こそが創造の父なのだろう

僕達が発見しなければならないものはいつも自分自身の中にあるものであり

そして、それは外側の世界の物象を伴って表現される

だから、その外側と内側がうまく重なって表現されれば

この世界にまた一つの新しい表現ーーーーーつまり、

詩によって造られた新しいもう一つの、そして、とても小さな世界が花開く事となる

そして、それはいずれは現実の一部となり、人々に読まれ、流布されて

そうやって、フィクションと現実は交流を重ね

その中で世界は少しずつ年を取り賢くなっていく

今、僕がこの言葉達に込めた想いは

やがて一つの現実となるだろう・・・

詩という、もっとも、空想的な道具を通じて



自由詩  詩はやがて、現実の一部になる Copyright yamadahifumi 2013-06-11 03:55:39
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