あんパン
草野春心



  あんパンを頬張る
  午睡のなかでぼくは
  とうめいな壁になっていた
  どこか遠いところから
  木魚の澄んだ響き
  井戸の水に棲むたくさんの微生物
  午睡から醒めてぼくはとうめいな壁ではなくなっていたが
  だからといって何だと言われるとよくわからない
  あんパンを頬張る
  青い風船がぷうぷうふくれてゆく





自由詩 あんパン Copyright 草野春心 2013-05-30 00:00:32
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短詩集