小満 (しょうまん)
nonya


穏やかな
朝の何処かで
キジバトが鳴いているけれど
耳で
探しかけてすぐやめる

どうでもいいじゃないか
そんなこと

美味しい
朝の何かが
芳ばしい匂いをたてているけれど
鼻で
尋ねかけてすぐやめる

どうでもいいじゃないか
そんなこと

窓際の
ソファに寝っ転がると
やんちゃな蔓草が
玄関の庇に絡みつこうとして
身悶えしているのが見えて
嫌だなと思いつつ
苦笑い

まったく
呆れ返るほど五月の朝
大人になりたての緑
のったりと見守る青
光が作る影は未だ優しい密度
睫毛をくすぐる風は素っ気ない速度

隙間という隙間が
透明な何かで
うっかり満たされてゆく

節穴という節穴が
少し泡立った何かで
どうしようもなく満たされてゆく

弛んだ
朝の彼方で
スマホが振動しているけれど
目を
走らせかけてすぐやめる

本当に
どうでもいいじゃないか
そんなこと




自由詩 小満 (しょうまん) Copyright nonya 2013-05-26 20:49:58
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