現代詩撲滅キャンペーン
左屋百色

夏みかん30個食べて春を忘れた頃
その空き箱に自分らしい言葉を
ぎゅうぎゅうに詰め込んで
駅へ向かう詩人F

駅前広場では現代詩撲滅キャンペーン
言葉を捨てに来た人には
オリジナルボールペンかハンドタオルが
プレゼントされる
詩人Fは箱を受け付けに渡し
ボールペンをもらい
周りの様子を注意深く観察してから
近くにいた警備員Nとすこし会話した
F(現代詩、なくなるといいですね
N(そうだね、よくわかんないしね

詩人Fは帰り道でキャンペーンに関わる
全ての人間を叩きのめすと心に決めた
現代詩をなくすわけにはいかないのだ

翌朝いつもより早く起きストレッチをし
気合いを入れ駅へ向かう詩人F
なるほど駅までの道がいつもと違う
素晴らしい景色ではないか
やはり現代詩は必要なのだ
あいつら全員許すわけにはいかない
そして15分後
ついに詩人Fは駅に到着した

しかし駅前広場には誰もいなかった
現代詩撲滅キャンペーンは
きのうで終わっていた






自由詩 現代詩撲滅キャンペーン Copyright 左屋百色 2013-05-24 15:08:04
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