ふるえ こがね
木立 悟





鴉の空の隔たりの
硝子と翠
尖塔と影
描かれた窓から吐き出される火


枝から枝が降る午後の
むこうの午後を聴いている
原と原に挟まれた径
海へゆうるりと下る径


球の上の羽
飛沫の花
焼けた石標のまわりには
蒼を蒼に還す雨


焦げた森と陽
くすぶる浜辺に
寄せる虚ろ
かえす透明


月でもなく灯でもなく
二重の入口をくぐりかがやくもの
午後には遅く 夜には早く
空の蛇に 無数の羽を与えるもの


星を噴く家
紙と音の波
暗がりにほころぶ
みどりの花


こがねに燃えるけだものが
流木をひろいあつめている
空は常に 空のむこうの
追いつけぬものを追い求めてゆく



























自由詩 ふるえ こがね Copyright 木立 悟 2013-05-23 02:47:40
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