薔薇のこと2
はるな


休日、タイ料理をたべて、よく晴れていたのでちいさなピクニックをした。コーヒーショップで買った飲みものとパウンド・ケーキ。さいきんできた、わたしのあたらしい友人は胸に青い薔薇を咲かせている。
公園には、おもっているよりもたくさんの人びとが(いろいろな性別の、いろいろな年齢の、いろいろな国籍のひとびとが、いろいろな目的のために、あるいは差したる目的もなく)いた。噴水と、木々と、それら丸ごとの上へ降りそそぐ光と。午後。
いままでの、好きな男の子たちのことや、いまも好きな男の子たちのことを話した。
それはわたしたち自身のこととすこし似ている。

会えるひとが、会えってくれるひとがいることは、とても安心なことだ。
わたしはわたしのかたちを思い出す。
わたしひとりで、自分のかたちを作れないことが、以前はとても不満で、不安で、恐ろしいことのように思えたけれど、いまはすこしちがう。
わたしはいつも少しずつあたらしいかたちでいることができる。いつも、同じかたちでいることはできない。それは必ずしも悪いことじゃない。良いことでなかったとしても。

それらは悪いことじゃない。
たとえ良いことでなかったとしても。

夫と行った福岡で、薔薇園へ寄ったことを思い出していた。
夫は手入れの難しそうな、大輪咲きのあでやかなタイプの薔薇が良いと言っていた。
わたしは放っておかれたような蔓薔薇が好き。
そして友人の胸には青い薔薇が咲いている。




散文(批評随筆小説等) 薔薇のこと2 Copyright はるな 2013-05-16 17:59:49
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