未完成した
未満ちゃん

夕食時って、なんて読む?
――ゆうぐれどき、
に伏せた目線を追われてしまうのは、
この睫毛が人工衛星で、軌道に乗っかるクドリャフカ(わたしたち)が、
ゆるやかに沈(し)んでいくことを知らないせい。
162日後が待ちきれない恒星は、女子に見下されることを想いながら、
競い合うように腰を下ろしていく。
そして影でだけ手を伸ばせた街路灯のそれぞれに隠れたまま、
境界線の溶けかけている男子たちの最後の篝火(つよがり)が、
不整脈がちな瞬きを繰り返して、渡しそびれた手紙を焼いている
それに目も暮れずに『暗いそらを登って一人ぼっちでなきたい。の光』が、一人分
――うそつき

「そういえば知ってる?
 シャーペンを回すと時計の針の推進力がほんの少し上がるんだよ」

(シチハチ クジシチ ハチクジ)

この間隔はわたしの日々のおなかの空き具合によって、
なだらかな曲線で定時され、比較的安全に守られております。か?
しらない、
チョコヘン食べたい。
――なにそれ?
チョコレートの辺。底辺かじる高さ割るに
――その式でなにを求めてるの?
わたしが甘いものをです
――最後の『に』は?
そりゃあ笑顔しょ。

――うそつき、
のつられて笑っていた顔が、突然その場に屈んでもヘッドフォンのコードは抜けない
音楽が漏れない、きょうも一番静かで、計算通りの軌道を無理に曲げるように
わざと廻り心地のよくない小さなプラスチックテーブルに突っ伏して
やっぱり目のまえに覆い被さった安っぽい木目調の嘘にうんざりしながらも、
こぼれたチョコレートのかけらと、ごちゃごちゃに積まれた星々を、救難信号みたいに
定期的に深更の空(そらぞらしいどこか)へ払い飛ばしながら、夜のあいだ中祈っている
たまに知らない誰かがその光を見つけては、なぜだかそいつも祈っている

(シチハチ クジシチ ハチクジ)

ながいこと手をつけなかったコップを遠巻きに眺めたら、
なんだかおもっていたよりずっと青くみえたみずのなか
居心地悪そうに繋がったチョコレートと
口にすると嘘みたいに溶けていく救難信号と
声一つ上げず等分されてしまったわたしが
混ざりあって映っていて
「これであるいみ完成しているのかもしれないな。」
そう思ったの、本当


自由詩 未完成した Copyright 未満ちゃん 2013-05-13 17:21:34
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