【始】転んだ日  
るるりら

なにも 間違えじゃあなかった
自転車とは 自分で ころぶから自転車
自転車の練習をして みごとに こけたのは わざと だよ
わざと 痛い目にあってみただけさ
新しく自転車を買って その自転車に跨った

自転車に乗れないはずはないんだ
とおい昔 生まれてはじめて乗った自転車には補助輪は なかった
はじめて乗った自転車は大きな お爺ちゃんの自転車で
足がペダルに届かなかった。
それでも はずみさえ合えば
前に進むものさ 自転車なんて
さんかくのりで 風を切る
たなびく こいのぼりの家族を いくつも追い越し
風の抵抗に ペダルが重くなる
こけて切れてしまった膝小僧なら なおさら
前にしか進めない


これまで どれだけのことを 覚えたろう
どれほどのことを わすれていたのだろう


太陽の温度
風の匂い
鳥は飛ぶ 風切り羽で


私にも 風切り羽があったのだ 
これまでの失敗や 過ちは それを知るためのもの
私には まだ
始めることのできる羽がある

≪自転車 乗り始めました≫
そう宣言した私は、
今日からは後むきには 飛べない鳥。




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novelistの「詩人サークル 群青」の
メンバーに入れていただきました。課題は【始】 初参加作品です。
http://book.geocities.jp/sosakukobo_gunjyo1/


自由詩 【始】転んだ日   Copyright るるりら 2013-05-04 22:42:01
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