水と応え
木立 悟





布の鳥が鳴き
ほどけては地に落ちる
六角柱の空が
球になろうとして震える


砂煙の夜を
すぎる猫の背
二色をわたる
赤子の息


花のように立つ銀河
白は白く
名も無く生まれ
夜を分ける


窪みの底を
梳く羽の群れ
木の枠に収められた
水晶の車輪


雨の冠が
二つの夜の境に並ぶ
ある日うたを失くした場所を
水は静かに巡りはじめる


かたちを変えて在りつづけ
遠のくことのない冬と海
曇を運ぶ波のほうへ
つづく足跡


灯も星もなく夜は明るく
手に手に鉱もて集まる人の
背は闇に闇に闇に濡れ
失くしたうたを口ずさむ




















自由詩 水と応え Copyright 木立 悟 2013-04-29 09:20:50
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