ザ・真っ当な主張
まーつん

  世界を変えたければ
  自分を変えなくちゃならない
 
  なんて面倒くさいんだ
  そこには見方の問題がある

  今夜
  雨上がりの空を見上げる時
  誰も同じ角度からは
  月を眺めていないように

  世界は
  それを見る者の
  立つ位置によって
  視点と対象とが
  織り成す角度によって
  その表情の色合いを
  万華鏡のように変えていく

  月の裏側を眺めれば
  総てが闇に沈んでいて

  気分を変えて表に回れば
  白い光に浮かび上がる
  沢山のクレーターが広がっている

  あちらこちらで餅をつく
  白ウサギ達をよく見たら
  実は 着ぐるみを着た
  宇宙人だったりして

  君は
  闇の中で膝を抱えていることもできるけど
  日の当たる場所で 彼等と一緒に
  餅をつくこともできる

  そうすれば
  寒々とした白夜の世界も
  ちっとはマシに見えてくるだろう

  まあ 冗談はさておき

  悲劇に涙を流した後は
  花束を添えて立ち去る前に
  死者の声を聞こう

  愚行に怒りをたぎらせた後は
  踵を返して立ち去る前に
  彼らの身になって考えてみよう

  苦しみを望むものはいない
  誰にでも自分の言い分があり
  あなたを傷つける悪意にも
  なんらかの訳がある

  平和の使者を気取ってみたくて
  こんなことを書いているけど
  半分くらいは本気だよ

  自分の心の中から
  憎しみを遠ざけておくには
  相手を理解しようと努める以外にない

  僕たちは
  互いの秘められた一面を映し出す
  鏡のような存在なのかもしれない

  少なくとも そう考えれば
  相手に唾を吐きかけるようなマネは
  死ぬまでせずに済むだろう

  あるいは 憐れみと軽蔑で
  相手を恥辱にまみれさせはしないだろう

  憎しみは何も生まない
  価値あるものは何一つ

  それが人一倍
  憎しみに身を任せ
  腹を黒く染めてきた
  僕の出した結論なんだけど


  明日にはやっぱり
  誰かにケリを入れてるかも…


自由詩 ザ・真っ当な主張 Copyright まーつん 2013-04-25 21:56:48
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