空白の空
灰泥軽茶

真っ白な空に飛び込むと
記憶がだんだん失われていき
気がつくと白い部屋にいる

外を眺めるとレモン色の月が輝いている
手を伸ばすとすっぽりと明かりが降りてきて包まれる

目をうっすら開けると
星が見える海の音が聴こえる
レモン色のランプを煌々と照らす漁船がやってくる
どうやら私は海の中を漂っているようだ

身体がだんだん沈み暗闇に落ちていく
泡の一つ一つがとても綺麗だ

いつのまにか暗闇を歩いている
大きな大きな土管の中のようで
いろんな生き物の声が反響し共鳴している

その中から誰かの匂いがする
近づいて行くとその誰かに手が肩が当たりもつれる
とても暖かい心地だ
何故か声が出せない
向こうも声が出せないようだ
私たちはそれからずっと繋がり
お互いの体温を確かめながら暗闇の中を歩いている


自由詩 空白の空 Copyright 灰泥軽茶 2013-04-22 22:45:21
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