きみと出会った日
草野春心



  僕のなまえがとけてゆく
  きみの
  鎖骨にたまる、
  やさしげな影の湖で



  カタツムリの殻のような
  気だるい模様を描いて
  きみのなまえもとけてゆく
  椅子に座りバナナの皮を剥く
  立ち上がり本棚から分厚い辞書を取り出す
  なんの役にも立たないものや言葉に
  邪気もなくあこがれていた
  でもそれもとけてゆく



  微かな風をうけて窓が震える
  悲しみが何処かにしゃがんでいる
  朝陽が眩しい
  きみと出会ったのはこんな夏の日だった




自由詩 きみと出会った日 Copyright 草野春心 2013-04-20 08:49:34
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