冷たい牛乳
まきしむ

osarusandes編集
cold milk

間違いのない歌を
歌うには
冷たい朝
牛乳を飲まなければ
屈伸をしなければならない

牧草
茅葺き屋根の家の前で
わたしは上半身裸、
ズボンを膝の位置で折り曲げた状態
タオルで体を吹く

無数の木々から運ばれてくる細かな水の数々が
空間を大きなカーテンのようにうねりを作り
わたしもろとも覆ってゆくので

流れてゆく私の体は十分に潤いを持ち
短く刈った頭に空いた穴から
全身にそれを吸収し

やっと動く力が湧いてき、
なにをすべきかすべてが判然とし
家に帰ると冷たい牛乳を飲み干し

さあ今日もがんばるかとか言って、
鏡に映る自分を見つめるのでした

間違いのない歌や鼓動は
そうして得られ
ともすれば埋没してしまうわたしを
つくり、支えるものであり
わたしは今現在こうして文字を打つことができるのであります


自由詩 冷たい牛乳 Copyright まきしむ 2013-04-20 01:58:14
notebook Home 戻る