ガス欠
pur/cran

 まず必要なことは残量を確認することだ。君はどこへ行くにも制限がかけられている。右(あるいは左)を向けば追い越していくものがある。後ろを向けば続くものもあるだろう。もしかしたら、周りには何もなく、君しか見あたらないこともあるかもしれない。

 そのようななかで、君はただエネルギーが空へと減り続けるなか、進行を余儀なくされる。放棄してもいい。それは君の勝手だ。ただ、それは必要なことだ。休憩所で一息つくにしても、時間と距離を気にしながら走ることになる。その間に注意しなくてはならないのは、ガス欠にならないことである。

 世に無限があるとしたら負の連鎖くらいなもので、エネルギーはいつかは枯渇する。有限は尽きる。君は奪い合いに勝利しなければならなくなる。生存のために。譲り合ってもいいが、いずれ奪われる側に立つことになるかもしれない。それを甘受できるかどうかによるが、奪われないためには勝つことも時に肝要になる。

 ガス欠に気をつけることだ。勝ち続けることを求めはしない。負け続け、残量に気をとられなくなるほどになる前に、どこかのガソリンスタンドに寄っていくことを勧める。君が対価を払えば笑顔で対応してくれるだろう。そのためのチップも欠かさないように。


散文(批評随筆小説等) ガス欠 Copyright pur/cran 2013-04-19 01:32:14
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