魚に
凍湖(とおこ)

あなたのせい
と、言わないのは やさしさ
と、じぶんのおへそに
言い聞かせていた
けれど
これは プライド。
わたしがわたしでわたしの重みに耐えるため。

**

日付が変わる直前の川
黒いぬめりに手をのばす。
低い方へ、流れる水に
指先とられ
あしとあたまは、逆転する。
「これは 転落ではない。
あたらしい視点を得、展開したのだ」
髪の毛は、豊かにゆれる藻になって
四肢は、青白くひらめき、魚になる。
わたしは、堪え難きを堪えない、魚になる。
じぶんの重みを水に乗せ、泳いでいく
しなやかな、魚に。


自由詩 魚に Copyright 凍湖(とおこ) 2013-04-18 00:28:02
notebook Home 戻る